クールな公爵様のゆゆしき恋情
「あいつにも、誰にも渡さない。ラウラは俺のものだ」

抵抗して腕から抜け出そうとしていた私は、その衝撃の言葉にピタリと動きを止めました。

今……アレクセイ様は何て言いました?

私が大人しくなったからか、背中に回った腕の力が緩みました。

顔を上げた私は、アレクセイ様の切なそうに細められた青い瞳に捕らえられ、視線をそらせなくなりました。

「ラウラ……お前が嫌がっても逃げ出しても、俺は諦められないんだ」

アレクセイ様は何をおっしゃっているのでしょうか? 諦められない? それは……。

呆然としている間にアレクセイ様の顔が近付いて来ました。避ける間も無く、唇が触れあいます。アレクセイ様への恋を自覚したあの初夏の日と同じキス。ですがあの時と違ってアレクセイ様は私から離れる事は無く、私の頭の後ろと、腰に腕を回すと更に強く唇を押し付けて来ました。

何度も繰り返し角度を変えては噛み付く様に口付けられます。そうかと思えば突然優しく唇を甘噛みされて私は思わず固く閉じていた唇を開いてしまいました。

するとアレクセイ様の舌が入り込んで来ました。

「あっ……んんっ」

更に深いキスへと進んで行き、私は震える手でアレクセイ様の上着を掴み縋る事しか出来ません。

なぜ突然こんな事になったのか、アレクセイ様に何が起きたのか、私にはもう考える事なんて出来なくなっていました。もう身体の力が少しも入りません。

アレクセイ様に支えていて貰わなければ、立っている事も出来ないのです。

気が遠くなる様な時間の中、身体中にアレクセイ様の熱を感じていました。

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