クールな公爵様のゆゆしき恋情
「強引な事をして悪かった」

「どうして……」

「他の男がラウラの側にいると思うと耐えられなかった。平常心で居られなくなる」

他の男……この場合、リュシオンの事でしょうか? アレクセイ様は何を言っているのでしょうか?

リュシオンと私の関係は、私とアレクセイ様の関係とは全く違うものなのに。

それにどうして今頃になって私に執着されるのでしょうか? 
私がアレクセイ様を追いかけていた時は避けていたのに。立場が変わったからと言って、人の気持ちがそんなに簡単に変わるものなのでしょうか。

私には出来ません。アレクセイ様を諦める決意は簡単なものではなかったのですから。
だから今更気持ちは変わるはずがないのです。

だけど……どうしてでしょうか。アレクセイ様に触れられても、私は少しも嫌ではなかったのです。

いいえ、それどころか驚き戸惑いながらも、喜んでいたのです。

アレクセイ様に求めて貰える事を、強く抱きしめて貰える事を、奪う様に口付けて貰える事を。

心の奥底では、このまま流されて何も考えず、アレクセイ様のものになりたいとすら願ったのです。

自分のそんな感情が信じられなくて私は益々混乱しました。

アレクセイ様と居ても幸せにはなれない。いつまたアレクセイ様が私を冷たく突き放すか分からないのですから。
そう頭で分かっているはずなのに、私は目の前にいるアレクセイ様に縋りたくなるのです。


「ラウラ、愛している。俺と結婚して欲しい」

アレクセイ様の腕が私の背中に回り、身体ごと引き寄せられます。そっと頬に触れられて、そのまま顔を上げさせられました。

この後どうなるのかもう分かっているのに、私は抗う事が出来ませんでした。

アレクセイ様の深い青の瞳に、どうしようもなく魅力されてしまいます。

再び重なる熱い唇を、私は何度も何度も受けて入れました。

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