好きな姿
好きな姿
なーにが
「もう無理」だ。
なーにが…
『距離おこう…だ。ばぁか…。』
秋風通り抜ける屋上。
茜色な染まる空を見上げて、私はタイル張りの床に寝転がった。
ヒンヤリとした感触が、シャツとセーターを通して伝わってくる。
涙で濡れた袖口は、より一層冷たくて、指先がかじかむ。
ついさっき一時間程前に、私は…半年間付き合った彼氏から「距離をおこう」宣言をされた。
生まれて初めて、付き合った…初カレ。
おもしろくて、
勉強もスポーツも何でもできて…いつも周りには沢山の人が集まる人気者の君。
そんな彼、七瀬 彼方(ナナセカナタ)
『…彼方のバカ…。私がどれだけ釣り合う努力をしたと…思って…。』
対する私、蜂野 雪(ハチノユキ)は…正反対。
第一印象では必ず、真面目と言われるし。
黒髪だから?
ただ…好きなだけなのに。