エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
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『私とデートをしよう』
マジュの部屋で私をそんな風に誘った翌日、ハルヒコ様は本当に私を街へと連れ出した。
いつも午前中に行っているマジュの治癒も、今日は休みにして出かけよう―――
そう言われて、私は驚いた。
だって、マジュの治癒は最優先事項で、私はそのためにこの家にいるはずなのに。
私が出かけるからマジュの治癒を休むなんて、そんなことしていいの?
「継続は大事なことだけど、休息だって同じくらい大事なことさ。
考えてみたら私は今日まで君を一日も休ませないで来てしまったね。悪いことをした」
「いえ、私はべつに……」
「マジュにもたまには休みが必要だろう。今日は一日ゆっくり寝かせてあげよう」
自分のことなら「大丈夫です」で通せても、マジュのことを言われると口を閉じるしかない。
後ろ髪を引かれながらも、結局私はハルヒコ様の誘いに応じることになったのだった。