エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜



まず最初に彼が私を連れてきたのは、都の繁華街エリアにある、有名なファッションブランドが軒を連ねるストリートだった。

普段着も外出着も、お屋敷に来る時に用意してもらったもので十分間に合っている。

私はそう言ったんだけど……。


「今ある服は、メイドたちが無難なところを選んで用意したものだろう?センスは悪くないけどね。
今日はリイナが自分で選んで気に入ったものを買おう。
そろそろ夏物も欲しいだろうしね」


そうしてハルヒコ様に背中を押されながらショップに入ったはいいけれど、正直に言うと、私は服のことなんてよくわからない。

今までは与えられた服を着るだけで、自分で選ぶなんてしたことがない気がする。

さすがに野暮ったいかオシャレかくらいの区別はつくけど、それを言ったらブランドショップに並んでいる服なんてぜんぶオシャレに決まっている。


選べって言われても、どうすれば……。

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