エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
頭の中に次々浮かんでくることを振り払って、私は歩き出す。
ハルヒコ様が帰ってくるまで、時間をつぶせる場所を探そう。
余計なことを考えていないで―――。
やっぱり本屋がいいかな、と探しながら歩く。
けれど見つからないうちにお店が途切れ、通りの並びには公園があらわれた。
(引き返そうかな)
きびすを返しかけたけれど、公園の中の様子が気になって、私は足を止めた。
いくつも並ぶワゴンにテント。
シートの上に広げられた品々をのぞき込む人々。
「骨董市」と書かれたのぼりが、そこかしこにたっている。
(こっとういち……アンティーク品のお店が集まってるのね)
私は興味をひかれて、公園の中に入っていった。