エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
骨董市で売っているものはさまざまだった。
食器に布地、古本に古着。
理科の標本みたいなものや、車の部品みたいなもの。
レトロなセンスの光るものや、一見ガラクタにしかみえないもの。
(何これ……マッチ箱?)
小さなマッチ箱を机にずらりと並べてレイアウトしてあるお店の前で、私は足を止めた。
箱に描かれている絵柄や文字は、すべて違うみたいだ。
店名らしきものが入っている箱も多いから、昔いろんなお店で配られていたマッチ箱をこれだけたくさん集めたってことだろうか。
(世の中にはいろんなコレクターがいるのね……)
そんなことを考えながら、童話風の絵柄の箱を手に取ってみる。
その時ふと、横から視線を感じた。