エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
(やっぱりこの人、私のことを見てる……)
横目でおそるおそる相手の様子をうかがいながら、私はそれを認めるしかなかった。
ポストカードの店にいた男―――派手な金茶色の長髪を無造作に一つに束ねた、筋肉質な体つきの若い男だ。
その人が、少し離れた場所から私のことをじっと見つめている。
逃げようと思ったけど、それでもついてこられたらと考えると怖くて動けなかった。
(どうしよう、誰かに助けを求めたほうがいい?でもただ見られてるだけだし……。
でも怖い……。待つなんて言わずにハルヒコ様と帰ればよかった……)
こういう時の対処の仕方、『園』で習わなかったっけ……?
一生けんめい思い出そうとしているうちに、目の端で男が動いたのがわかった。
―――こっちに近づいてくる。
(どうしよう……!)
怯えて動けないでいる私に、男の手が伸びてくる。
(ハルヒコ様……!)
ぎゅっと目をつぶった瞬間、その大きな手が私に触れた。