エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
魔の手
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「しかしほんとに、こんな所でリイナと会うとはな。世間は案外せまいもんだ」
アラキさんはタバコに火をつけながら、しみじみとそう口にした。
「お前が『花の庭』を出てって以来ってことは、何年ぶりになるんだ?」
私たちがいるのは、公園の入り口近くのベンチだ。
「四年ぶりになりますね」と私が答えると、隣りに座る彼は「そんなにたつっけ」と目を丸くした。
「四年たつとあのガキンチョがこんなお嬢さんに成長するわけか。で、そのぶん俺はオッサンになったってわけ?」
「まだそんな歳じゃないでしょ?というか、誰かと思いましたよ、そんな派手な頭してるから。
怖い人に目を付けられちゃったかと思ったんだから」
むくれて見せてから、私は笑う。
こんな所でリイナと会うとは、とアラキさんは何度も言ったけど―――私だって、こんな所でアラキさんに会うとは思ってもみなかった。