エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜

｢うーん、アラキさんが想像してる暮らしとはちょっと違うと思うけど……。
でも、悪くない生活はできてるかな｣

｢そりゃそうだろうよ。あーあ、しかもこんな美人に成長するなら、店にいた頃に口説き落としときゃよかったな。
いや今からでも遅くないか。ヒモにしてくれ｣

ニヤニヤしながら顔を近づけてくるアラキさんを、私は｢おことわりです｣と笑いながら押し返す。

こんなじゃれ合うようなやりとりを誰かとしたのは、本当にいつ以来だろう。

アラキさんは見た目は変わったけれど、こういうしょうもない冗談を言って私にかまってくるところは、昔とちっとも変わっていない。

それが懐かしくて、何だかとても嬉しかった。


｢アラキさんは今はなにしてるの？カードのお店、放っておいて大丈夫？｣