エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
「私のせい……?」
意味がわからない。
そんな私の耳元にくちびるを寄せて、アラキさんは続ける。
「ミズホのやつ、病気から復帰して店に出るようになってから、妙に俺に冷たくなりやがってよ。
別れ話なんて持ち出すもんだからこっちもしつこく食い下がってたら、
あいつ、俺が店の売り上げをたまに拝借してることや客取る前の見習いの娘を味見してることなんかを、うちの店や街の元締めにぜんぶバラしやがったんだよ」
彼の声に、恨みがましさがにじむ。
「あん時はもうお前は、『原石園』とやらに引き取られた後だったっけな。
なあ、俺がその後どんな目にあったかわかんだろ?
……ミズホは俺を裏切るような女じゃなかった。変わっちまったんだよ、病気で死にかけてから……そん時にお前に、ご大層な『力』を使われてからな」
「……そんな!た、確かにねえさんは、素っ気なくなったけど……でも、私が助けなかったらねえさんは……!」
「そうだな。死んでただろうよ。けど俺はそんなこと言ってんじゃねえんだ。
『お前の力で助けられてからあいつは変わった』。
俺があんな目にあったのも、今こんなシケた生活してんのも、元はといえば全部お前のせいなんだよ」