エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜

「これ、上等そうな服だよなあ。やっぱこういう生地って丈夫にできてんのか?」

衿元にかけた手を、力任せに引き下ろす。

ブチブチっとボタンの弾け飛ぶ恐ろしい音と縫い目の裂ける鈍い音に、私は思わず「ひっ」と悲鳴を上げた。

「あー、やっぱ簡単に下までは破けねえか。まあこれでも十分だな。
おら、『お父さん』に成長した姿をよく見せてみろよ」

下着をずらされあらわになった素肌に、大きな手が直に触れてくる。

ぞっとするような感触と、伝わる生々しい体温。

私は耐えきれずにぎゅっと目をつぶった。


(いや……いや……!助けて、誰か……!ハルヒコ様……!)


大声で叫びたいのに、恐怖のあまり喉がつまってうまく声が出ない。

やだ、やめて、とかぼそい声で震えながら訴えるのが精一杯で、
けれどそんなことで肌をまさぐるケダモノの手が止まるわけもなかった。

「そんな怯えんなよ、俺とお前の仲だろ?
……てかお前、俺がお前を恨んだりしなきゃこんなことにならなかったと思ってる?残念だけど、俺はもとから年頃になったら味わってやるつもりでお前を見てたんだぜ。
もちろん、ミズホにはバレないようにだけどな」


(そ……んな……)

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