エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
非情な指先のもたらす感覚をもはや受け止めきれずに泣いてのたうつ私に、
「叫んだって誰も来ねえぞ、隣と下は空室だ」とアラキさんが笑う。
そんな……もういやだ……助けて!
「助けて……ねえさん……!」
一瞬胸をよぎったその人の面影に、私は無意識に助けを求める。
するとふいに、アラキさんが動きを止めて私を見た。
「……なあリイナ、そういえば俺、お前にもうひとつウソついてたんだわ」
真面目な顔で私を見つめて―――けれど拭いきれない残酷な笑みを薄く口元にはりつけたままで、彼は告げた。
「ミズホは今も元気でやってるだろうって言ったろ?あれ、ウソなんだよ」
「え……?」
「あいつ、死んだんだ」
―――え?
言われた意味がわからずポカンとする私にかまわず、アラキさんは続ける。
「花街の知り合いに調べてもらったんだから確かだぜ。俺があそこからいなくなって何ヶ月もしないうちに死んだんだと。
気が触れて店に出れなくなって、最後は自分で首くくっちまったらしい」
「気が……触れた……?」