エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
「そーそー、狂っちまったんだよ。娼婦続けてくのが苦痛すぎたらしいって話だ。
あのまま死ねればよかったのに、誰かさんが生き返らせたせいでまた地獄に逆戻りだ、もう耐えられない―――とか何とか、恨み言もずいぶんもらしてたらしいな」
アラキさんの言葉の意味を、私はうまく回らない頭で必死に理解しようとする。
ミズホねえさんが……死んだ?
気が狂って……自分で命を、絶った?
私がねえさんを助けたことが、ねえさんを苦しめて……
―――私の、せいで?
「でもよ、苦痛だったからって普通、いきなり狂ったりしないだろ?
ミズホがああなったのはリイナが治癒の時におかしな力を流し込んだからじゃないかって、そんなウワサも流れたみたいだな。
相手のアタマをおかしくするようなヤバいエネルギーをよ。……そのへんどうなんだ?優秀な<リーフ>のリイナちゃん」
アラキさんが顔を近づけて聞いてくる。
私は呆然として、ただゆるく首を振ることしかできなかった。
(おかしな力なんて……そんなわけ……ねえさん、狂って、死んだ……?自殺……?私のせいで……?)