エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
告げられた言葉が頭で渦をまいて、考えようとすればするほど思考が麻痺していく。
事実を受け入れるのを拒むみたいに……。
「ま、あいつのことはもうどうでもいーんだよ、俺は。
そのヤバい力で出世してお嬢さんヅラで俺の前にあらわれたガキのことはぐちゃぐちゃにしてやりたくてたまんねえけど。―――そうだな、そろそろ俺も楽しむか」
アラキさんがTシャツを脱ぎ捨てた。
厚い筋肉のついた裸の胸に刻まれたドクロのイレズミが、死刑宣告みたいに目に飛び込んでくる。
なのに私は、動けなかった。
抵抗しなければいけないとわかっているのに……頭も心もぼんやりとして、なんの力も湧いてこない……。
(ねえさん……)
ベルトを外す金属音も、太ももをつかんで広げられる感覚も、すべてが遠く感じる。
ギッ……とベッドが軋んで、目の前にドクロが迫る。
欲望の牙が押し当てられるのを感じて、私は絶望に目を閉じる……。
(い……や……)