エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
壊れかけた心
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アラキ・トヨシマは、愛想のよさで人を騙しては金銭を巻き上げるようなことを繰り返している、あの近所では有名なゴロツキだった。
最近では麻薬の売買にも関わっていて、警察からもマークされている要注意人物だった―――
病院のベッドで目覚めたあと、警察の人が私に色々なことを教えてくれた。
「昔とたいして変わらない仕事をしてる」と言っていたアラキさんが、本当はどんな悪事をはたらいて生計を立てていたか。
そして、ハルヒコ様たちがどうして私を見つけることができたのかも。
私の運命のカギを握っていたのは、私とハルヒコ様が待ち合わせ場所に決めた、あのアイスクリーム屋のアルバイトの女の子だった。
彼女はバイト先に向かう途中、骨董市を開催している公園の前を通りかかった。
その時、ちょうど男と少女の二人連れが公園から出てくるのが目に入った。
男のほうは、アラキという名のゴロツキだった。
以前絡まれて怖い思いをしたことがあったので、その顔はよく覚えていた。
少女のほうは知らない子だったが、14、5才くらいの身なりのいい娘だ。
アラキの連れとしてはどう考えても不自然だった。
やがてちぐはぐな二人組は、公園の向かいの路地に消えていった。