エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
以前からアラキの素行に手を焼いていたアパートの大家は、話を聞くとすぐに協力してくれた。
カギを手にした大家を先頭にアラキの部屋に向かったハルヒコ様たちは、
そこで私を保護し、取り押さえられたアラキはそのまま逮捕されることとなった。
「そっか……いろんな人たちのおかげで私は助かったんですね」
本当にありがとうございました。
すべてを聞き終えてから、私はベッドの周りにいる人たちにそう言って頭を下げた。
心から感謝の気持ちを伝えようとしたつもりだった。
それなのに私の口から出てくる言葉には、まるで感情がこもらなかった。
下手な女優みたいに棒読みのセリフを口にする私を、ハルヒコ様が痛ましげな目で見つめていた。
すっかり目覚めたはずなのに、頭も身体も、重くてしかたなかった。
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