エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜





***




「さあ、入って、リイナ」

扉を開けたハルヒコ様が、私を手招く。

私は小さく息を吸いこんで、その部屋へ足を踏み入れた。

広い室内に、レースのカーテンを透かして陽の光が差し込んでいる。

白を基調とした家具に、ブーケ柄の絨毯。
ソファに腰掛けた大きなクマのぬいぐるみ。

そして、何よりも目を引く、部屋の中央の大きな天蓋付きベッド。

金の支柱から下がる白いドレープレースのカーテンに遮られ、入り口からはベッドの中の様子はうかがえない。

あの中に、マジュがいる。

「さあ、こっちに」

背中を押され、私は緊張しながらもベッドに歩み寄る。

カーテンの中に、身を横たえた人の姿が見えた。

レースの揺りかごに守られて、静かに眠る眠り姫―――。


(え……?)


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