エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
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「さあ、入って、リイナ」
扉を開けたハルヒコ様が、私を手招く。
私は小さく息を吸いこんで、その部屋へ足を踏み入れた。
広い室内に、レースのカーテンを透かして陽の光が差し込んでいる。
白を基調とした家具に、ブーケ柄の絨毯。
ソファに腰掛けた大きなクマのぬいぐるみ。
そして、何よりも目を引く、部屋の中央の大きな天蓋付きベッド。
金の支柱から下がる白いドレープレースのカーテンに遮られ、入り口からはベッドの中の様子はうかがえない。
あの中に、マジュがいる。
「さあ、こっちに」
背中を押され、私は緊張しながらもベッドに歩み寄る。
カーテンの中に、身を横たえた人の姿が見えた。
レースの揺りかごに守られて、静かに眠る眠り姫―――。
(え……?)