エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
透けるように白くて細い彼女の手を、両手でそうっと包み込む。
ひんやりと冷たい体温を手のひらに感じた、その瞬間。
(えっ……!?)
触れ合ったその場所から―――彼女から私に向かって、強いエネルギーが押し寄せてきた。
私は何もしていない。
ただ手を握っただけで、自分の力を彼女に注ごうとしたわけでもないのに。
これは……
(逆流……っ!)
いけない、と思う間に、『彼女』は猛烈なスピードで私の中に流れ込んでくる。
ごうごうと嵐のような音をたてて、私の中に『彼女』が渦を巻く。
笑顔、泣き顔、怒り顔。
笑い声、叫び、くぐもった呟き。
マジュの中に閉じ込められていたたくさんの思い出が、たくさんの感情が、際限なく溢れかえって私を押しつぶそうとする。
だめ!
これ以上は……!