エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜

苦しさに声を上げそうになったとき、ふいに嵐が止んだ。

流れが止まった?

ちがう、圧迫感はそのままだ。

質量の大きな一つの記憶が、細かい記憶を飲み込んだんだ。

この記憶は……。


(マジュ?眠ってるの?)


マジュはベッドに身を横たえている。

でも、私の目の前にいる現実の彼女とは様子がちがった。

彼女は何も身にまとっていなかった。

輝くように白い肌を何からも隠さないまま、静かに目を閉じている。


……いつの間にか、彼女は誰かの腕の中にいた。


大きな手のひらが、白い肌の上を這う。

少女の輪郭を覚えようとでもするように、全身くまなく。

少女に己の存在を刻もうとでもいうかのように、執拗に細部まで。

秘められた場所にも。

そのさらに深くにも。

手のひらが探り当て、指先が暴き出し、呼吸を乱した少女の唇を、濡れた唇がこじ開ける。

少女は愛らしい顔を切なげに歪め、細い指でシーツに縋って耐える。

やがて、熱い手のひらが太ももに添えられる。

間を置かずに押し入ってきた熱い質量に、こらえきれずに少女は背をしならせ、白い胸を震わせて叫んだ。


『お父様ぁっ……!!』



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