エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
その瞬間、私の中からねえさんの中に向かって、今まで感じたことのないすごい力が流れ出した。
しっかりはまっていた栓がいきなり外れたみたいに溢れ出した力に、私は驚きながらも、それをねえさんの中に注ぐことに集中した。
しばらくして、ねえさんは目を覚ました。
熱もすっかり引いていた。
店のみんなは、私が発揮したエメラルド並かそれ以上の力とねえさんの回復とに、驚いたり喜んだりで大騒ぎになった。
私も、自分の力でねえさんを救えたことが嬉しく、誇らしかった。
けれど、ねえさんだけは自分の回復を喜ばなかった。
「どうして助けたの」
そう言ったのを最後に、ねえさんは店に復帰した後も、もう二度と私に話しかけようとはしなかった。
*
「原石園」の人たちが私を連れにやって来たのは、それから三ヶ月たった頃だった。
私は11歳になっていた。