エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜





***





意識の外側を、殻が覆っている。

叩いても揺すってもびくともしない。

刃物も通さないような、硬くて頑丈な厚い殻。

それを透明な両手で抱きしめる。

硬い殻が柔らかく溶けていくのをイメージしながら、優しく優しく抱きしめ続ける。

ほら、冷たいばかりだった表面が、少しずつ少しずつあたたまっていく。

ほら、少しずつ少しずつ、殻が柔らかくなってくる……




「リイナさん、今日はこれくらいにしておきましょう」



呼びかけられて、私は目を開いた。



目の前には白いネグリジェのマジュが眠っている。

私は彼女の手を握ったまま、椅子に座った私の横に立つその声の主を振り仰いだ。

「大丈夫です。まだ一番外側を溶かしているだけだから、少しくらい長い時間力を注ぎ続けても、マジュ様の負担にはならないと思います」

私の言葉に、その人物は「いけません」と首を振った。

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