エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
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意識の外側を、殻が覆っている。
叩いても揺すってもびくともしない。
刃物も通さないような、硬くて頑丈な厚い殻。
それを透明な両手で抱きしめる。
硬い殻が柔らかく溶けていくのをイメージしながら、優しく優しく抱きしめ続ける。
ほら、冷たいばかりだった表面が、少しずつ少しずつあたたまっていく。
ほら、少しずつ少しずつ、殻が柔らかくなってくる……
「リイナさん、今日はこれくらいにしておきましょう」
呼びかけられて、私は目を開いた。
目の前には白いネグリジェのマジュが眠っている。
私は彼女の手を握ったまま、椅子に座った私の横に立つその声の主を振り仰いだ。
「大丈夫です。まだ一番外側を溶かしているだけだから、少しくらい長い時間力を注ぎ続けても、マジュ様の負担にはならないと思います」
私の言葉に、その人物は「いけません」と首を振った。