エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
「いや……すまないリイナ。悪いのは私だな」
「え?」
申し訳なさそうにそんなことを言う彼に、私は驚いて顔を上げる。
ハルヒコ様は私のことをじっと見つめてくる。
その瞳のあまりに真剣な色に、心臓が思わずドキンと音をたてた。
「私はもっと、君のことを知らなくちゃならない」
私を見つめたまま、ハルヒコ様はこちらに手を伸ばしてくる。
私はまるで魅入られたように動けなくて―――
やがて彼の手が、私の手をぎゅっと握った。
「旦那様……?」
困惑する私に、ハルヒコ様は鳶色の瞳を優しく細めて微笑みながら、告げた。
「デートをしよう、リイナ」
***