エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
思わぬ再会





***





冷えたグラスの中の、冷えたデザート。

下の層は薄緑色のシャーベット、上にはグリーンのドロップのような粒がぎゅっと積み重なっている。

透明な粒は光を透かしてキラキラと輝き、まるでエメラルドの宝石みたい。

これ、何でできてるんだろう?

銀のスプーンで一粒すくってみる。

スプーンの上でもグリーンの粒は形を保ったまま。

ゼリーみたいな柔らかいものではないらしい。

でも、氷ほど硬い感触もしなかった。

正体がわからないまま、スプーンを口に運ぶ。

口に含んだ瞬間、その冷たさとつるりとした舌触りに、本当に宝石を口にしているような気になって―――

次にパリッと軽い音をたてて宝石の表面が割れ、みずみずしい果物の香りと一緒に、中からとろりとした液体が溢れた。

甘酸っぱくて、濃厚だけどさわやかで。

これって……。


「青リンゴ……?」


私が思わずつぶやくと、向かいの席のハルヒコ様がにっこりと笑った。

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