エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
「そう、青リンゴのジュレを飴で薄くコーティングしてあるんだ。
そのまま食べても美味しいけど、そのヨーグルトソースもぜひ試してみて」
ハルヒコ様にすすめられるまま、私はデザートのグラスと一緒に運ばれてきたヨーグルトソースの器を、青リンゴのジュレの上に傾ける。
白い帽子をかぶったジュレを、ひと口。
しっとり濃厚な舌触りの甘くないヨーグルトにジュレの甘酸っぱさが溶けだしてくる。
「おいしい。あ、この下のシャーベットにも絡めたほうがいいですか?これも青リンゴ味?」
「シャーベットはライムの風味だったかな。リイナのお好みでどうぞ」
頬を緩めながらデザートを口に運ぶ私の様子を、ハルヒコ様はアイスコーヒーのグラスをスプーンでかき混ぜながら楽しそうに眺めている。
私たちがランチを済ませ、食後のひと時を楽しんでいるこの場所は、ハルヒコ様行きつけの高級三星レストラン―――というわけではない。
いや、人気スポットなのは確かなのだけれと……。
私たちが今いるのは、『ストーンパーク・ミュージアム』という、カンバラ財閥が運営する複合アミューズメントパークの中のレストランなのだった。
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