溺愛〜ラビリンス〜
白王子、黒王子
白王子 鷹宮 淳稀
うちの学校には、キングと二人の王子がいる。
「おはよう淳稀くん。」
「白王子が来たよ!」
「今日は、ラッキー!」
などという女の子達の賑やかな声。
女の子達の声に爽やかな笑みで挨拶をしながら登校して来るのは、白王子と呼ばれる、鷹宮淳稀(たかみやあつき)くん。
呼び名の通り、優しくて爽やかで成績もトップクラス、そしてテニス部のルーキー。一年生にしてレギュラーを努める非の打ち所のない人。それが白王子。
私は玄関へと急ぎ足で進み、自分の下駄箱へ向かう。
「おはよう。柚ちゃん。」
「おはよう。あつくん。」
いつの間にか私に追いついて挨拶してきた白王子。
「今日も可愛いね。柚ちゃん。」
爽やかに微笑む白王子。
言われた方が恥ずかしくなる様なセリフをサラっと言うこの人は本当に王子だよ。心の中で呟く私。
「どうしたの?」
顔が赤くなり、俯いてしまった私を心配して話しかける白王子。
「何でもないよ。」
毎朝の事、いい加減慣れないと…心の中でため息をつきながら返事をした。
私、三浦柚姫(みうらゆずき)と白王子こと淳稀くんは、小学校の時からの付き合い。