溺愛〜ラビリンス〜
翔兄ぃ、そんなに心配してたの?嬉しい様な、心配し過ぎにちょっと驚きな様な…


居たたまれなくなり、視線を右へと反らす。


「健人くん今朝はありがとう。」


と声をかければ、健人くんが口を開きかけた所で


「姫を守るのは当然の事だ。お礼を言う必要はない。」


と低い声が聞こえてきた。
びっくりしていると、


「行くぞ。」


と翔兄ぃは手を引き奥へと進む。

奥には椅子があり翔兄ぃは椅子に座って私の手を引っ張った。


「キャッ」


びっくりして声をあげ、気がつけば翔兄ぃの膝の上に座っていた。
恥ずかしいよ…
立ち上がろうとすると私のウェストに翔兄ぃの腕が回って、身動きがとれない。


周りを見るとみんな気にした様子もなくいるけど、恥ずかしい誰か助けて。
困っていると渉君が


「早くお昼食べないと昼休み終わるよ。」


と助け舟を出してくれた。


翔兄ぃがやっと腕を緩めてくれたので


「翔兄ぃ、お弁当食べよう。」


と言ってお弁当を広げる。

翔兄ぃのお昼はいつも私が作っている。


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