溺愛〜ラビリンス〜
戸惑っていると、あつくんの顔がグニャリと歪んで見えて次の瞬間私は意識を手放した。
う、ん…頭が重苦しい… 何とか目を開ける。
此処どこ?知らない部屋に居た。状況が分からず混乱していると、
「目覚めた?」
あつくんの声が聞こえた。
「あつくん?」
声のした方を見るとあつくんが居た。
「此処どこ?何で私此処に居るの?」
訳が分からずあつくんに質問を浴びせる。あつくんは落ち着いた様子で私の質問にきちんと答える。
「此処は僕が用意した部屋。柚ちゃんは睡眠薬で眠ってその間に此処に来たんだよ。」
でもおかしいよ…
「どう…して…?」
声が震えてしまっている。怖いけど聞かないといけない…
あつくんは笑顔で答える。
「君を僕のものにする為。」
嘘…あつくんのものって…おかしいよ。あつくんの笑顔が怖い。笑っているのに目が笑っていない。
「あつくん、私家に帰る。」
「だめだよ。君はこれから僕のものになるんだから…」
いつもの王子スマイルとは全く違う笑顔のあつくんに恐怖を感じた。