溺愛〜ラビリンス〜
これから私はどうすれば良いの?家にも帰れない。翔兄ぃの顔をまともに見れないよ…
学校だって行けない。どんな顔でゆうくんに会えば良いの?
それに同じクラスにあつくんがいる。私、何処にも行く所がないよ…
そんな事を考えているとシャワーを浴びたあつくんが戻って来た。
「柚ちゃん、これで柚ちゃんは僕のものだよ。」
「イヤッ!」
伸びて来た手を振り払った。体が震えているのが分かる。見上げる様にあつくんを睨めば、
「君は僕のものだから誰にも渡さない。」
凍る様な冷たい視線で一言言うと寝室を出て行った。
どれ位経ったんだろう? あれからあつくんは寝室に入って来ない。
私は服を身に付け寝室のドアを開けた。
リビングにも浴室にもあつくんの姿はなかった。
逃げるなら今がチャンス。行く所なんて何処にもないけど、此処には居たくない。
私は玄関のドアを開け外へと飛び出した。