溺愛〜ラビリンス〜

鈴原 健人side


渉からメールが一斉送信された。緊急事態か…

ユズ姫が居なくなった? こんな事初めてで衝撃が走る。一体何故? 兎に角、今は考えている場合じゃない。

俺達特攻隊には坂本の周辺の調査と、状況によって本人に当たる指示が出た。

確か坂本は今、実家を出てマンションに一人暮らしをしている筈だ。

凌にマンションの住所を調べてもらい、第1、第 2小隊長と特攻隊の精鋭を10名程度連れすぐ坂本のマンションへ向かった。






黒王子…坂本悠斗は関東で1、2を争う極道、坂本組の若頭だ。既にその道では頭角を表していて将来は確定した立場となっている。


マンションは学校から近く、見るからに高価な感じで、セキュリティがしっかりしていた。

外のインターホンで坂本の部屋を呼び出す。いるか?少しすると応答があった。


『…はい』


坂本が出た。


「鈴原だ。ユズ姫は来てないか?」


『ハッ?柚がいる訳ないだろ。…まさか柚が居ないのか?』


坂本の慌てた様子から嘘を言ってはいないようだ。





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