溺愛〜ラビリンス〜
坂本 悠斗side
今日は組の仕事が立て込んでいたから登校出来なかった。
「柚に会えなかったな…」
帰宅してソファに寝転び昨日の柚との事を思い出し目を瞑った。
ピンポーン
インターホンが静寂を破りうるさく鳴り響く。
「チッ」
柚の事思い出していたのを邪魔され機嫌が悪くなる。
「…はい」
仕方なくインターホンに出ると
『鈴原だ。ユズ姫は来てないか?』
予想していなかった相手に訳の分からない事を聞かれ、思わずすっとんきょうな声を出す。
「ハッ?柚がいる訳ないだろ。…まさか柚が居ないのか?」
鈴原に言われた意味を理解すると、嫌な予感が駆け抜け慌てる。柚が居ない?どういう事だ?
パニックになりながら
『答えろ!柚が居ないのか?』
低い声で鈴原に問いただせば
「ハァ…そうだ。」
鈴原の返事に頭に血が昇る。何やってんだよ、ふざけんな!
『バン!』
気持ちが黒く染まり壁に拳を打ち付ける。頭に血が登り、見境なく辺りのものを蹴散らし殴りつけた。