溺愛〜ラビリンス〜

「…あぁ…渉に任せる。」


翔真の了承を得た渉は俺に向き直り説明を始める。


「今分かっている事は、白王子が柚ちゃんを連れ出したって事。居所は分からない…」


いつも落ち着ついている渉の苛ついた声の説明に被せるように別の声が部屋に響く。


「白王子が最近借りたマンションが分かった。色々細工してくれたから調べるのに時間かかったよ…」


今まで黙っていた秋津が口を開いた。


「何処だ!」


その言葉に反応して翔真がソファーから立ち上がる。俺も更に部屋の奥へと進む。


「市街地から北の外れにあるマンションだ。」


「行くぞ」


翔真が声をかけると、その場に居た全員がドアに向かった。





淳稀のマンションは秋津の言うように、市街地から北の外れにあった。急遽借りたのか、俺のマンションに比べてもセキュリティは甘かった。

淳稀が借りるにしてはグレードが低いな…そんな事を思いながら翔真達とマンションの中に入った。


淳稀の部屋のある12階へ上がり部屋の前まで来た。秋津がインターホンを鳴らすが応答がなかった。





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