溺愛〜ラビリンス〜

俺も翔真達もどうするか思案して躊躇するが、大輝がアッサリとドアノブ引く。ドアには鍵がかかっていなかった。


迷う事なく俺達は部屋の中へ入った。


中は照明がついていなくて薄暗く人気もなかった。


此処じゃないのか?不安が過る。その時、背後で玄関のドアが開く音がした。


振り返ると淳稀がコンビニの袋を提げて立っていた。焦った様子の淳稀…


「…どうして…?」


困惑した顔の淳稀に翔真が低い声を出す。


「柚は何処だ?」


殺気を帯びた雰囲気に淳稀の視線が俺達の右側にあるドアに泳いだ。


俺も翔真もそれを見逃さなかった。
素早くドアを開ければ慌てる淳稀。だが開けた部屋には柚は居なかった。

どういう事だ?淳稀じゃなかったのか?そう思っていた時、秋津がドアを開けた部屋…寝室の中へ入って行く。

そしてベッドの脇まで行くと叫んだ。


「翔真!!」


翔真はその声に素早く反応し、ベッドの側まで行くと振り返り今まで以上の殺気を放った。


「柚に何をした?」


震え上がる程、低い声で淳稀に問いかけた。

俺も寝室の中へ入るとベッドは乱れ、シーツには血がついていた。




< 116 / 671 >

この作品をシェア

pagetop