溺愛〜ラビリンス〜

嘘だろ?俺は茫然とベッドを見ていた。



渉がベッド脇にあるゴミ箱から封を切った小袋を拾った。


「これは…つまり柚ちゃんを…」


「止めろ!」


そこにいる全員が安易に想像できるこの状況を受け止めたくない。翔真も同じなんだろう、渉が発する言葉を遮った。


「柚は…何処だ?」


翔真が怒りを押さえ、低い声で問えば、悪びれる事なく淳稀は答えた。


「僕が聞きたい。まだ薬が効いていると思っていたから買い物に行ったのに…まさか…逃げ出すなんて…」


薬?睡眠薬か何かで自由を奪ってレイプしたのか?考えると怒りでどうにかなりそうだ。

俺は淳稀に近づき一発殴りつけた。ふっ飛んだ淳稀は殴られた頬を押さえながら俺と翔真に向かって叫んだ。


「柚ちゃんはこれで僕のものだ。キングにも悠斗にも渡さない!」


そんな自分勝手な想いを通す為に柚を傷つけたのか?許せない俺は逆上して、淳稀に馬乗りになり何度も殴り続けた。

こんなに人に殺意を覚えたのは初めてだった。





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