溺愛〜ラビリンス〜

焦った様子で困惑した様子の鷹宮に詰め寄る。


「柚は何処だ?」


鷹宮の視線が俺達の右側にあるドアに泳いだ。素早くドアを開け中を確認するが柚は居なかった。此処じゃなかったのか?

そう思っていた時、凌が部屋の中へ入りベッドの脇まで行くと大きな声をあげる。


「翔真!!」


ただならぬ雰囲気に素早く反応しベッドの側まで行くと、乱れたシーツには血がついていた。あきらかに女の出血だった。


嫌な予感が更に強まり俺は振り返り今まで以上の殺気を放って低い声で鷹宮問い詰めた。


「柚に何をした?」


悠斗も寝室の中へ入って来てベッドを見ると目を見開いていた。


鷹宮を睨み付けている俺に渉がベッド脇のゴミ箱から封を切った小袋を見つける。


「これは…つまり、柚ちゃんを…」


渉の手にあるのは封を切った避妊具の小袋…この状況に現実を受け止めたくない俺は渉の言葉を遮った。

兎に角、柚を連れて帰りたい。


「柚は…何処だ?」


暴れ出したい気持ちを抑え鷹宮に聞く。


「僕が聞きたい。まだ薬が効いていると思っていたから買い物に行ったのに…まさか…逃げ出すとは…」




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