溺愛〜ラビリンス〜
そう思っていた時キングの側近が寝室の足を踏み入れた。
「翔真!!」
叫ぶ声に気づかれたと思った。
寝室に押し入ったキング達は驚きと怒りを顕にした。
「柚は…何処だ?」
「僕が聞きたい。まだ薬が効いていると思っていたから買い物に行ったのに…まさか…逃げ出すとは…」
僕の言葉で部屋の空気が凍りつき、温度が下がった気がした。。
そして悠斗が僕を殴りつけた。僕は悠斗とキングに向かって感情をぶつけた。
「柚ちゃんはこれで僕のものだ。キングにも悠斗にも渡さない!」
悠斗は更に逆上して僕に馬乗りになり殴り続けた。殴られた頬の痛みより何故か胸の苦しさの方が勝っていた。
悠斗は涙をこぼしながら僕に呟くように言う。
「何で柚を傷つける様な事をした?お前だって柚の事好きだっただろ?大事じゃなかったのかよ!」
悠斗の叫びに胸が苦しかった。悠斗の柚ちゃんへの想いに負けた気がして悔しかった。どこまで行っても僕は勝てないのか?
こんな状況でも柚ちゃんを思いやる悠斗はすごい…けど、僕だって好きだったんだ。