溺愛〜ラビリンス〜

「好きだよ。
だから自分のものにした。」


僕の言葉に悠斗は


「ふざけるな!」


と怒鳴り僕の頬を殴る。

「悠斗が柚ちゃんに告白なんてするから悪いんだろう!」


吐き捨てる様に言えば、悠斗は目を見開く。


「何で…」


何で知っているのかと聞きたいのだろう。でもその後の言葉は続かなかった。悠斗の動揺が伝わってくる。

お前が元凶だ。呪いの言葉の様に伝えたかった。 これ以上言わなくても悠斗には伝わったみたいで僕の胸ぐらを掴んでいた手の力が弱まっていた。


気がつけばキングはいつの間にか居なくなっていた。


静まり返る部屋に玄関のドアの開く音が聞こえてくる。


誰だ? 息をつめているとキングの側近だった。

キングと一緒に来た側近が声をかける。


「健人。」


寝室に入って来たその側近は僕を見るなり睨み付けた。


「本当なのか?ユズ姫がレイプされたって?」


そう言ってベッドを見て息を飲む。


「マジかよ…」


そう言うと頭に手を当て俯いてしまった。

部屋の中は静寂に包まれ誰も身動きさえしなかった。




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