溺愛〜ラビリンス〜

「…うん…さむ…」


気がつくと朝になっていた。しかも早朝と言われる時間帯じゃないみたい…結構人通りがある。どうしよう…

明るい時間帯だと目立つよね…誰にも見つかりたくない。

悩んだけどこのまま此処にいると公園に遊びに来た子供や親達に見られる。結局、此処には居られない…

仕方なくお山の中から出て公園を後にする。慎重に行こう。誰にも見つからない様に!


遠くの方でバイク数台がこちらに向かって来る音が聞こえた。
私は狭い路地へ入って隠れる所を探した。ちょうど段ボールや発泡スチロールの箱が沢山積んである場所があったのでそこに隠れて様子を見た。

少しするとバイクの音は大きくなりバイクは通過して行った。ホッとしながら早く此処を離れなくちゃと必死で駅まで走った。




10分位走ると踏み切りが見えてきた。もう少しで駅みたい…

初めて来た駅だった。どうしよう…行き先どっちの方向に行くか…何も決まらない。

兎に角、電車に乗ろう。丁度、次に来る電車はS県に行く電車だった。


有希に電話してみよう…迷惑じゃなかったら置いてもらおう。
働かない頭で一生懸命考えて、早くここから離れなきゃと必死だった。




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