溺愛〜ラビリンス〜
私は流れる景色を見つめながらゴメンなさいと呟いていた。ごめんなさい翔兄ぃ…チームのみんなも心配かけてごめんなさい。でももう誰も知らない所に行くしか私にはないの…
爽くんが線路と平行している道をバイクを走らせ電車を追って来るのが見えた。お願いほっといて…視線を反らして近くの席に座り、爽くんが追いつかない事を祈った。
電車はどんどん進み、車窓に視線を向けると爽くんの姿はいつの間にか見えなくなっていた。私はホッとしながら窓ガラスに凭れかかった。
一度ため息を吐くと携帯をポッケから取り出し電源を入れる。そこにはたくさんの着信履歴……その大半は翔兄ぃと渉くん、あとゆうくんからも数分おきに着信があった。凌くんや健人くんの名前も所々にある。もちろん爽くんの着信もあった。ずっと心配してくれていたんだね……分かっていたけど、余りに大量の着信履歴にみんなにどれだけ心配かけているかを感じて罪悪感を感じた。
ごめんなさい…みんなに心配かけて…迷惑かけてごめんなさい。
心の中でみんなに謝ってから電話帳を開き有希の名前を出して電話をした。