溺愛〜ラビリンス〜

付いて来た小田をはじめとする下の奴等に声をかけ、下の奴一人にこの駅でユズユズが降りていないか確認するよう指示してバイクを発進した。




時間をロスしたのが響きその後も何駅も回るが、ユズユズが乗った電車は発車した後で電車に追い付く事ができない。ここまでの駅でユズユズが降りたという情報はないから恐らく電車に乗っているはずだ。
俺は焦った。


「仕方ない…次の駅は飛ばしてその先の駅に向かう。」


これ以上行かれたら隣県になる。県外に出られたら面倒くさい事になる… その前にユズユズを捕まえないと…




目的の駅に着くと電車が居た。捕まえた…ホッとしたのもつかの間、笛の音が聞こえドアが閉まった。

嘘だろ!構内に入る間も無しかよ…慌てて構内に駆け込むが、すでに電車は発車した後だった。


電車にまだユズユズが乗っているのかどうかも確認できなかった。


「チッ」


舌打ちをして携帯を取り出し渉に報告の電話を入れた。


渉に怒られるかな…兎に角、この後の指示も仰がないとならない。ため息を吐き電話をかける。


電話に出た渉に経過と今の状況を報告して指示を仰げば、すでにS県の王龍に協力を要請したらしい。渉らしいな…捕まえられなかった時の手を打ってあった。


この後の指示を仰ぎ、翔真がこっちに向かっているので俺達は翔真と合流する事なった。




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