溺愛〜ラビリンス〜
柚ちゃんが自ら王龍に行った?
「ハァ?」
俺の戸惑った様子に部屋の空気ははりつめ、俺の会話を見守っていた。
『有希の所に柚姫ちゃんから電話がきた。それで二人で話し合って、有希が俺に頼んできた。王龍に助けてもらいたいってな…柚姫ちゃんからはブラックホークスには秘密にして匿ってもらいたいって…念を押された。』
「…ッツ…」
俺の苦しそうな表情に、何かを察した翔真がソファから立ち上がる。
「……分かった…でもいつまでもと言う訳にはいかない。」
取り合えず柚ちゃんが無事だったんだから良しとするべきだろう。今日の所は都築に任せるしかないだろう。
『あぁ…2、3日したらそちらでS県に入って、捜索していて偶然見つけたって事にするのがお互い姫の機嫌を損ねない方法だと思う。』
「そうだな…そうさせてもらう。明後日S県に入る。細かい打ち合わせは明日電話する。」
『あぁ…うちのチームには、明後日ブラックホークスが入って来る事は通達しておく。』
都築との電話を切り、みんなに都築からの話しを伝える。