溺愛〜ラビリンス〜
俺はブラックホークスの総長になった時、柚を姫に指命した。
本来俺の女が姫になるが、柚以外の女なんてガキの頃から目に入らない俺には当然、姫にしたい女なんていない。
俺の隣にいていいのは柚だけだ。
幼なじみで副総長でもある渉は、ガキの頃から柚の事は知っていて俺の柚ヘの気持ちも以前から気づいているようだった。 だから俺が柚を姫にすると言った時反対はしなかった。
それどころか柚を姫にする為に動いてくれた。昔から本当に頼りになる奴だ。
チームのトラブルで昨日から家に帰れず、遅刻して登校する事が分かっていたからいつもの様に柚と登校する事ができず、今朝仕方なく健人に頼んだ。
幹部室に入り、俺のいつもの定位置の席についてしばらくするとメールを確認した渉が、
「柚ちゃんは無事、健人と学校に着いたから大丈夫だよ。ただ…」
と言葉を言い淀んだ。
健人からどんな報告があったんだ?俺は苛々と渉を睨み聞く。
「どうした?」
柚に何かあったのか?やはりチームの事で仕方なかったとはいえ、柚を俺の目の届く場所に置いておくべきだったか…と考えていると、俺の考えている事が分かったのか渉が続ける。
「いや、別に危険な目にあったり、ケガしたとかじゃないから…」
と、言葉を切った後
「悠斗と鷹宮淳稀が朝から、柚ちゃんめぐってやりあったらしい。」