溺愛〜ラビリンス〜
「私は……もうブラックホークスの姫でいられないから!だから翔兄ぃには会えない…私は……翔兄ぃにもチームのみんなにも、もう会わせる顔がないの。だから…」
そこまで言って柚ちゃんは泣き出してしまった。柚ちゃんの様子に遥は戸惑った顔をして、聞くのは無理だと判断したようだったんだ。
「…分かった。もうこれ以上は聞かない…柚姫ちゃんの事はうちで匿うけど、後の事は全て俺に任せてくれ。」
柚ちゃんは遥の言葉に目を見開いて驚いている。
「…分かりました。よろしくお願いします。」
柚ちゃんは遥に頭を下げた。
柚ちゃんは倉庫の一階の普段使われていない客間の様にしている部屋に居てもらう事になった。
但し、厳重な警備の下… 幹部一人と他5〜6人で部屋を守った。
遥に言わせると後々何かあった時に痛くもない腹を探られない為だそうだ。
男の世界はイマイチ分からない…でも何とか柚ちゃんが落ち着けて良かった。
これからどうなるか分からないけど、今はそっとしておいてあげたい…柚ちゃんには今時間が必要だと思う。
親友として何をしてあげられるか分からないけど、できるだけの事はしてあげたい。
そんな事を考えながら、遥に送ってもらっているG県へ向かう車の中から見慣れた景色を眺めた。