溺愛〜ラビリンス〜
「そんな…」
ユズ姫は青い顔のままそれだけ言うと、固まってしまった。可哀想だけどユズ姫には帰ってもらわないとならないから…ゴメンね。
「柚を返さないと言うなら戦争だ。」
翔真が低い声で言うとユズ姫はビクッと肩を振るわせた。
「翔兄ぃ…違うの!お願い!止めて!遥くんは何も悪くないの。」
必死で訴えるユズ姫に俺は追い込む様に言う。
「ユズ姫、他所の姫をそのチームに無断で連れ出せば、拉致と言われても言い訳できない。今、都築はそういう立場だ。言い訳は都築から聞く。」
「こんな事が起きたんだ都築には今後G県には立ち入らせる訳にいかないな…」
俺の言葉に続けて爽も追い討ちをかける。
「ッツ…」
ユズ姫は目に涙を溜めて俯いてしまった。
「どう落とし前つけんだよ!」
俺が都築に怒鳴った。
王龍の姫は既に泣いていた。
「ごめんなさい。私が悪いの!だから遥くんを責めないで!お願い…」
ユズ姫が必死に泣きながら言う。
「柚ちゃんいくら言葉で言っても納得できないよ?本当に都築が悪くないなら、柚ちゃんはS県に居るべきじゃない。分かるね?」
渉が諭す様に言えば、ユズ姫はコクリと頷いた。