溺愛〜ラビリンス〜
「チッ」
忌々しげに舌打ちすると
「まったく白王子、黒王子は相変わらずだよねぇ。」
面白そうに言う渉に
「面白がってるんじゃねぇ!」
俺のイライラが増す。アイツ等いい加減にしろよ。
悠斗と鷹宮は柚と同い年でガキの頃から柚の周りをうろちょろして、俺にとっては目障りこの上ない存在だ。
特に悠斗は柚と幼なじみだから柚にとっては心を許せる存在の様で、柚に近づかせたくない奴No.1だ。
悠斗も俺を敵視している所があり、生意気な口を聞いたりするので、今までにも一触即発の状態になった事が何回もあった。
悠斗は関東では1、2を争う極道、坂本組の若頭だからか俺に恐れる事がない。本当に生意気な奴だ。
鷹宮は小学校入学以来、何かと柚の周りをうろちょろしているが、日本のトップ10に入る企業、鷹宮コーポレーションの御曹司だ。育ちの良さが出るからか白王子と呼ばれている。
年上ヘの礼儀をわきまえているが俺が追い払ってもサラリと躱し、柚の側に居着いてしまった。
ある意味、悠斗より厄介な存在の様な気がする…
明らかに二人は柚の事を俺と同じ目で見ている。だが柚姫は俺のものだ。絶対誰にも渡さない。
まったく他の奴等はちょっと脅せばビビって二度と柚に近づかなくなるが厄介な奴等だ。
俺は小さくため息をつき渉に
「早くケリつけて学校行くぞ。」
と言った。