溺愛〜ラビリンス〜
三浦 翔真 side
今、俺達はS県のファミレスにいる。
昼より少し早いからか都築が手を回してあるせいか、店内は比較的空いていた。
俺が声をかけると激しい拒絶の言葉を言う柚…
お前が何を言ったって俺はお前を放してやれないんだよ。
俺を拒否し泣き出した柚が
「ダメ!ダメなの…」
と叫んだ。
いよいよ大芝居の始まりだ…
渉が都築に低い声で話す。
「都築…どういうつもりだ?うちと戦争するつもりか?」
慌てる柚に渉は容赦ない言葉をと言い放ち都築を責めた。
ごめんな…柚…お前を取り戻す為だったら何でもする。だから俺から逃げるのを早く諦めてくれ。
「そんな…」
柚は絶望した声でそれだけしか言えず、俺もたたみかける様に都築に向かって言葉を放つ。
「柚を返さないと言うなら戦争だ。」
健人や爽も次々と都築を攻撃して、俺達の厳しい言葉に柚は言葉もなくなり俯いてしまう。
「ごめんなさい。私が悪いの!だから遥くんを責めないで!お願い…」
柚は泣きながら謝った。
終わったな…これ以上柚を泣かせたくない。俺は芝居の幕を下ろす。