溺愛〜ラビリンス〜
「柚帰ろう。俺達は全部分かった上で迎えに来た大丈夫だ。柚の事は俺が守る。」
そう言ってユズ姫の手を握り締め立たせた。
「…翔兄ぃ…私…」
柚は戸惑っていたが俺は言葉を遮り、立ち上がったユズ姫の頭を撫でながら優しく言った。
都築達に謝る柚を隣で見つめながら、俺は心の中でお前の事は俺が守るお前は俺の傍に居る以外ないんだよ…と呟いた。
ファミレスを出ると待っていた車に乗り込んだ。
車に乗ると緊張の糸が切れたのか、ここ数日眠れてなかったのか柚はすぐに寝てしまった。
俺は眠った柚を抱き寄せた。助手席に乗っている健人が覗き込む。
「寝た?」
「あぁ…」
柚の寝顔を見ながら答えると健人はホッとした顔で柚を見る。
「良かったな…無事戻ってきて…」
コイツ等にも心配かけたな…後でちゃんと礼を言わなきゃな…
柚を取り戻しやっと落ち着いた俺は柚以外の事を考えられる様になった。
全てが解決した訳じゃない。いや…柚が戻って来たってだけで何も解決はしていない…
柚を守る。必ず…