溺愛〜ラビリンス〜
「白王子、キングの事を舐めすぎだ…アイツは柚ちゃんが本当に幸せなら、自分の思いも押さえて柚ちゃんを見守るだろう…でもお前を絶対翔真は認めない…」
「ッツ!」
「お前が柚ちゃんにした事を許さないし、柚ちゃんを傷つけ泣かせたお前に任せるなんてできないからな…」
「お前には無理だ諦めろ。」
凌と健人が白王子の両脇を抱えている。白王子は俺の言葉に何も反応しない。
「これから悠斗の所に行っても同じだぞ?覚悟して行け…」
アイツがどう出るか…まぁ…結局、アイツも翔真と根本的に同じか…きっと白王子を精神的に追い詰めるんだろう…
顎を動かして凌と健人に連れて行く様に合図した。
二人は白王子を連れ屋上を出て行く。一人になった屋上で長いため息をつく。
「フッ…」
笑みがこぼれる。翔真とうとう言ったな…お前にとってぶち破らなきゃならない壁だ…その一歩を踏み出したな。頑張れよ。
俺は早く倉庫に帰りたい筈の翔真の元へ急いだ。
校門に止まる車の中で翔真は目を瞑り待っていた。
「お待たせ行こうか?」
助手席に乗り込み車は倉庫へ向けて出発する。柚ちゃんの元へ向かって急いだ。