溺愛〜ラビリンス〜
翔真はそのまま屋上を出て行った。
「白王子、キングの事を舐めすぎだ…アイツは柚ちゃんが本当に幸せなら、自分の思いも押さえて柚ちゃんを見守るだろう…でもお前は絶対、翔真は認めない…」
渉の言葉に悔しそうな表情をする白王子。
「お前が柚ちゃんにした事を許さないし、柚ちゃんを傷つけ泣かせたお前に任せるなんてできないからな…」
温厚な渉とは思えない冷たい視線で白王子を見下し激しい口調で判決を言い渡すように言う。
「お前には無理だ。諦めろ。……これから悠斗の所に行っても同じだぞ?覚悟して行け…」
それだけ言って顎を動かし凌と俺に合図をした。
俺達は白王子を連れ屋上を後にした。
校門には車が待機していて水谷が声をかけてくる。
「健人さん、凌さんこちらの車に乗って下さい。」
「翔真は?」
「あちらの車に乗っています。」
「そうか…」
凌が助手席に乗り俺と白王子は後部座席に乗り込んだ。
凌はすぐに携帯を取り出し、坂本に電話をかけて白王子を連れて行く場所を聞いていた。
数分で会話が終わった凌が水谷に指示を出す。
「坂本のマンションへ」