溺愛〜ラビリンス〜
「はい。」
返事のあとすぐ車が走り出す。車内は目的地に着くまで静かだった。
坂本のマンションに着くと側近の工藤がエントランスで待っていた。
先に車を下りた凌が工藤に近づき話しかけ、振り向くと俺に向かって下りる様に合図した。
よりによってアイツが出迎えかよ…俺は自分の側のドアを開けて外に出て続いて白王子が車を下りた。
「どうする。部屋まで送るか?」
凌が工藤に聞くと
「いや俺一人で大丈夫だ。白王子だってここまで来て逃げるとかダッセー事はしねぇだろ?」
人を小馬鹿にした言い方をした。
「あぁ…」
白王子が仏頂面で返事をした。
「と言う事だ。君達はここまでで結構。」
「あっそう、じゃあ間違いなく引き渡したからな。」
相変わらず気に食わねぇ奴!俺は白王子を引き渡し背を向けた。
車に戻り少しすると凌がドアを開けて乗り込んでくる。
「お疲れ様。相変わらず相性悪いな?」
からかうように言う凌。面白がってんじゃねぇよ…ったく。俺が苛々しながら凌を睨みつければ、慌てて謝ってくる。